私が素材にこだわり、どなたにでも安心してお召し上がりいただけるキムチづくりを、志すようになったのには、二人の師匠との出会いがありました。
一人目の師匠は、大阪空堀商店街で、創業120年を超える昆布の名店『こんぶ土居』の先代社長の土居成吉様です。
土居様は、今から36年前の1988年に、料理誌の『あまから手帖』に、食育や食の安全性について、寄稿されておられました。
ちょうどバブル期に差し掛かった頃で、食に関しても、高いお金を出して美味しいものを食べるような風潮でした。
そんな時に、今の食育や食の安全性のことを、熱く語っておられた文章を見て、「お金お金のご時世に、こんな考えで、モノづくりをしている方がおられるんだ!」と、凄いカルチャーショックを受けました。
そして、まだ学生で家業を継ぐことは、決めてなかったですが、もし家業を継いでキムチ屋をするなら、この人みたいにモノづくりをしたいと思いました。
(その後、ご挨拶にお伺いして、モノづくりについて教えていただいております。)
そんな想いをもって、数年後に家業の手伝いを始めた頃に、二人目の師匠である、辻田浩之様と出会いました。
辻田様は、七味唐辛子や山椒といった和風香辛料の世界で、第一人者の凄い方で、大阪・堺で、和風香辛料の製造販売をしておられる『やまつ辻田』の社長をしておられます。
辻田様とは、百貨店の催事で、私はお客さんとして出会いました。
私がキムチ屋の仕事をしていて、食育や食の安全性を追求したいとお話すると、モノづくりについて、そこから今に至るまで、懇切丁寧にご指導いただき、今はキムチの唐辛子も、使わせていただいております。
上記の二人の師匠との出会いと教えが、キムチづくりの原点となっております。